金利上昇に備える

10日(金)、日本の10年債利回りが13年ぶりの高水準となり1.2%を突破した。バブル崩壊後の1990年から約34年間も無視されていたインフレと金利上昇がついに現実のものとなる可能性が生じている。いずれも水準自体はまだ低い。ただ絶対水準よりもモメンタムが重要だ。もしこの状況が進展すると「現金の価値低下」と「借入れコストの増加」という多くの日本人が経験したことのない2つの問題を引き起こす。この環境をどう乗り越えればいいのか。今から具体的な対応策を頭の中で準備していこう。
1.現金の価値低下にどう対応するか
インフレは現金の購買力を蝕み、「見えない損失」をもたらす。例えば、年2%のインフレが10年続けば、現金の実質価値は約20%減少する。このリスクを少しでも回避するには、インフレ耐性の高い資産を保有することが必要だ。
対応策
不動産の活用:不動産はインフレ時に賃料や資産価値が上昇する可能性がある。例えば、主要な都市における需要の強い地域では、再開発や環境整備、人口増加に伴う資産価値の上昇が期待できる。ただし、地方の一部の地域等では賃料収入水準が実質的に低下するリスクが生じるため、従来以上に慎重な物件選びが求められる。
短期金融商品とインフレ連動型債券*:金利上昇局面では、MMF(マネー・マーケット・ファンド)や短期国債などの流動性商品が魅力を増す。例えば、米国では2022年の金利急上昇時に、MMFへの資金流入が記録的な規模となった。国内でも同様に、低リスクで利回りを得られる選択肢が注目される可能性がある。
株式や金へ分散投資:株式や金など異なるリスク特性を持つ資産を組み合わせることで、インフレリスクを軽減できる。例えば、インフレの恩恵を受けるといわれる消費財やエネルギー関連の株式は今後注目されやすいだろう。また、金は市場不安が高まる局面での避難先としても機能する。
2.借り入れコストの増加にどう対応するか
金利上昇は住宅ローンや不動産投資の借入れに直接影響を及ぼす。利払いコスト増を念頭にいれた対応が必要だ。
対応策
ローンの再評価:固定金利型ローンは金利上昇のリスクを回避する手段として有効だが、借入初期の負担が重くなる。一方、変動金利型ローンを選ぶ場合は、将来の金利上昇が毎月の返済額にどの程度影響するかを確認しておくことがこれまで以上に重要になるだろう。
キャッシュフロー管理の強化:金利上昇時に収益性を確保するには、賃料収入が安定し、ローン返済を上回るキャッシュフローを生む物件の選定が不可欠だ。駅近物件や再開発エリア、また何らかのメリットにより需要が強い立地を重視することが挙げられる。
借り換えと繰上返済の活用:将来に備え現行ローンの金利条件を見直し、有利な条件への借り換えを検討しておきたい。また、余剰資金を活用した繰上返済は金利負担を直接的に軽減できる。AIやインターネット・サイトで返済シミュレーションが簡単にできる。便利な時代になったものだ。
米国でも長期金利は足元上昇しているが、中長期的には低下が見込まれる。拡大した日米金利差は今後緩やかに縮小方向に向かうのがメインシナリオだ。円高シナリオ含め、今後の動向に要注目だ。
*インフレ連動債券は現時点において日本ではそれほど多く発行されていません。上記は作成時点における弊社の意見や見通しを示したものであり、その内容を保証するものではありません。
現金(預金)の価値低下の対応策としては、
インフレ連動型債券に興味があります。
いざと言う時に換金が容易…
金や株式はもっと上がるかも知れないが、今かなりの水準に来てるのでは?と思う。
不動産も…?
以上年寄りの戯言です!
ありがとうございます。
インフレ連動債は今後は発行が増えてくるかもしれませんね!