地価シリーズ第二弾 「基準地価」を読む

先週9月16日、毎年恒例の「基準地価」が公表されました。
全国平均では、全用途で前年比+1.5%、東京都に限れば 住宅地で+5.6%、商業地で+11.2% と大幅な伸びを見せ、ニュースでも大きく取り上げられていました。

そこで改めてふと思ったことがあります。「基準地価」って、そういえばどういう価格だったっけ?

名前に引っかかる

なぜか言葉の細部が気になってしまいます。

“基準+地価”なのか、
“基準地+価”なのか。

調べてみると──正解は、“基準地+価”。 基準地の価格です。

各都道府県が、選んだ特定の地点(基準地)の価格を定期的に公表している、ということでした。
なるほど、全ての土地の価格を公表しているわけではないのですね。すっきりします。

土地の価格を示す指標は複数あるので混乱しやすいです。改めて整理しておきます。

実勢価格‥実際の売買で成立する価格。需給や個別事情によって上下し、人気エリアでは公示地価を上回ることもあります。

公示地価‥国土交通省が、毎年1月1日時点の標準地を調査し、3月に公表する価格。土地取引の基準として広く利用されます。

基準地価‥都道府県知事が、毎年7月1日時点の基準地を調査し、9月に公表する価格。公示地価を補完する役割を持ちます。算出方法は公示地価と基本的に同じです。

路線価 ‥国税庁が、相続税や贈与税の算定のために毎年7月に公表する価格。公示地価の概ね8割程度 を目安に設定されます。

固定資産税評価額‥市町村が課税のために算定する価格。3年ごとに見直され、公示地価の7割前後が目安になります。

ちなみに公示価格と基準地価は大きく一つのものとしてまとめて認識するくらいがいいと思います。

さて。

今回の最高地点はどこなのか。 ニュースではこう報じられていました。

「基準地価の最高地点は、銀座2丁目・明治屋銀座ビル付近。」

──ちょっと待った。

銀座の最高地点といえば、鳩居堂前を含めた4丁目交差点ではなかったか。
この間路線価のブログでそう書いたはずだ。間違いない。

それなのになぜ?「銀座2丁目・明治屋銀座ビル付近」なのか。

気になる。

調べてみると判明しました。理由は調査主体と基準地の選び方にありました。

                     銀座2丁目周辺

路線価の最高地点 :鳩居堂前含めた銀座4丁目交差点

基準地価の最高地点:銀座2丁目・明治屋銀座ビル付近

基準地価においては、銀座4丁目交差点は実際には売買がほとんどないせいなのか評価対象地(基準地)として指定されていませんでした。一方で、銀座2丁目付近は取引事例が比較的あるからか、基準地として調査対象に選ばれています。

路線価においては、 課税上の理由から全国の主要道路について網羅的に価格が付されているため、「鳩居堂前」のような象徴的な地点にも価格が付されているのです。

なるほど、4丁目交差点は基準地に選ばれていないのなら仕方ないね、とすっきりしました。

ちなみに私は、先日も聖地巡礼のように4丁目交差点で写真を撮り、2丁目の明治屋銀座ビルのダンヒル前でも写真を撮っていました。

日本で最も高価な両方の土地を征服した気分になってささやかな満足をしている自分がそこにはいます。

職場までの通勤経路で毎日通っているにもかかわらずです。

……なにやってんだか。

     銀座2丁目・明治屋銀座ビル付近

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