「ミニマムタックス強化」について ~資産売却を検討されている方は必見です~

高市政権によって、来年2027年4月より2年間飲食料品に対する消費税率を8%から1%へと引き下げる方向が示されました。減税の方針は、多くの納税者にとって喜ばしい一方、見過ごせないのが、不動産や株式の譲渡所得を含めた高額所得に対する「課税強化」の動きです。
ミニマムタックス強化
今年、2026年も残すところあと4か月半となりました。「気が早い」と思われるかもしれませんが、先月頃から不動産業界では「ミニマムタックス※」という言葉を耳にすることが増えています。
※ミニマムタックス…通常の方法で計算した所得税額とは別に、一定の計算方法によって最低限負担すべき所得税額を算出し、その額が通常の所得税額を上回る場合、その差額を追加で納税する制度。国税庁解説HPはこちら
この言葉が今になって改めて注目を集めている最大の理由は、来年令和9(2027)年分から不動産や株式などの譲渡所得を含めた高額所得に対する課税がさらに強化され、実質的な増税となるためです。
この制度はもともと、岸田政権下の「令和5(2023)年度税制改正」において、いわゆる「1億円の壁(高所得者ほど株式や不動産の分離課税により実質税負担率が低くなる問題)」を解消するために導入が決定されました。
制度が始まった当初は、資産の譲渡所得を含めた所得金額から差し引ける特別控除額が「3.3億円」と高く設定されていたため、「自分には関係ない一部の超富裕層の話だ」と捉えられ、あまり大きな話題にはなっていませんでした。
しかし、来年令和9(2027)年分からはこの控除額が一気に半減となる「1.65億円」へ引き下げられ、税率も22.5%(所得税)から30.0%(所得税)へと大幅に引き上げられることが決まっています。
令和9(2027)年分からの改正ポイント
- 特別控除額(資産譲渡所得を含めた所得金額から差し引ける控除額)… 令和8(2026)年分まで:3.3億円 ➔ 令和9(2027)年分から:1.65億円(※半減)
- 税率(所得税)… 令和8(2026)年分まで:22.5% ➔ 令和9(2027)年分から:30.0%
特に昨今は資産価格の上昇が続いており、長年保有してきた土地・建物や自社株の評価額(含み益)が想定以上に高くなっているケースが増加しています。特別控除額が1.65億円に半減することで、これまで「自分は対象外だ」と考えていた不動産オーナーや企業経営者の方が、資産売却や事業承継によってその年の所得金額が膨らんだ場合、意図せず納付税額が大幅に増加してしまう可能性が生じることになっています。
令和9(2027)年からの課税強化に向け、求められる対応
令和9(2027)年からの課税強化が確定している現状において、資産の売却や再編を検討されている方には、年内に行うのか来年に行うのかによって著しく納税額が異なる可能性があるため留意が必要です。
大規模な資産の売却や自社株の譲渡といった取引は、適切な相手先の選定、契約条件の精査、そして法的手続きなど、完了までに相応の期間を要することが一般的です。
世間で消費税減税のニュースが話題になる裏で、資産をお持ちの方々にとっては「いつ売却や資産組み換えを実行するか」というタイミング次第で、手取りが大きく変わる局面を迎えています。
資産売却を検討している方には、2026年の残りの期間をどう使うか、まずは早めの試算と準備を開始されることをお勧めしています。具体的対応についてご不明点などありましたらどうぞお気軽にご相談ください。
【留意事項】上記は国税庁HPほか各種公開情報等を基にHATTO COMPANYが独自に作成しており、その正確性を保証するものではありません。無断転載等を禁じます。

